釣行日 場所

2005年4月17日 千代川

父と子のテンカラ教室「ライズ」

    4月17日、子どもらと千代川に入る。しかし扇ノ山の雪代か、水が多くて川通しにも難儀した。テンカラにはちと厳しく、なるべく緩やかな流れに毛鉤を打ち込ましたが、いっこうに反応がない。一度、ゆらりと黒い影が見えたような気がするのと、振り上げざま、白い腹を返したのが一回あった。
お昼にお握りをほおばる。日当たりのええ場所には早やコゴミが出ていたので、しばし今年の初物を採る。
昼からは取水口下流の少し水の少ない場所に移動。すると低い堰堤の上でライズを発見。早速、降りて行き、まずはじっくりと観察する。
暖かい日差しにカゲロウがたくさん飛んでいて、3ヶ所ほどライズが見られる。この位置からは木の枝が邪魔して少し毛鉤が振りにくい。ま、これも練習と、ウエダーを履かずに堰堤上から振り込ます。
「体をやな左に傾けるんや。上半身をくの字に曲げて、ラインを斜めに打ってみ。」まず最初に長良が冨士流P2ラインを振った。相変わらずライズはあるものの、毛鉤には食いつかない。「もうちょっと毛鉤を浮かせ気味に流してみ」と促した。
何回か打ち込むうちに、だんだん体が真っ直ぐになってきて、ラインが真上に跳ね上がるようになる。「引っ掛かるど!」と後からダメ出しをする。
そうこうしているうちに、落ち込み寸前で1匹掛かり、そのまま堰堤下に落ちた。「やった!」長良が思わず声を上げる。18センチのヤマメ。
次は太公の番である。静かに待っていると、またライズが始まった。「よし」と太公が毛鉤を振る。「くの字やど、くの字。」と私は念を押した。
太公がライズしている場所を狙って毛鉤を打ち込んでいるので、「も少し上流から流してみ」とアドバイスする。しかし出ない。「毛鉤を替えてみよか」と、大振りな逆さ毛鉤から小さな普通毛鉤に交換する。しかしやっぱり出ない。
「ちょっと貸してみ」と私は竿を貰い、「チョン・・チョン・・チョン・・」と水面を引っ掻く程度に捨て鉤を打つ。「よっしゃ、これで打ってみ」と太公と交代した一発目、「バシャ!」と大きく水面が割れた。
「おーおー!」と太公が両手で竿を握り直して慌てている。子どもら用に軽いハエジャコ竿で毛鉤を振っているので、魚は堰堤上の溜まりを走り回った。「アハハ!落ち着け、落ち着け!」と声を掛ける。最後は私がラインを掴んで放り上げた。これが24センチのええヤマメだった。
それ以後ライズはなくなったが、今日は夕方を待つまでもなく納竿とした。同じ一匹釣るのでも、面白いのがテンカラである。そのことを今日の一匹は子どもらに教えてくれた。
家に帰ってから子どもらがとった魚拓には、それぞれに大きく「テンカラで」と書かれていた。「今日は捨て鉤が効いたなあ」と親父は独りほくそ笑んだ。
     

取材:京都北山テンカラ会  田中 佳憲

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