冨士流テンカラ講座(道具について)

道具について 竿を選ぶ基準 ラインの振り込みについて

毛ばりを巻く

冨士 弘道 プロローグ

 ひとえに渓流釣りと関わり早くも30有余年、その中でもテンカラ釣りだけで30年を費やしてしまっています。年数だけ永ければ値打ちが上がるというものでもないでしょうが、少なくとも年間5〜60日ほど川へ足を運び、その都度、試行錯誤を繰り返してきました。今このプロローグを書くにあたって、これまでの幾多のシーンやエピソードをあらためて思い起こしています。

 概ね、ひとつの物事に取り組んで3年も経てば、どうにかこうにか格好になるものであります。私のテンカラについても、初めの第1段階としての3年間は基本みたいなもので終わったものの、それを足場に次の段階へ、さらに次へと経験を重ねていくことで、安定した釣果が得られるようになってきました。ですからテンカラ釣りを始めて、第1段階の釣果よりも次の第2段階の釣果の方が低いと言うことがあっても、一向に気にすることはありません。

 

それは理屈や匹数で言い表せないところの経験という財産を体得しているからです。また初心者が熟練者といわれる人より多く釣るなどということもありますが、そのことは偶然の出来事であり、それ以上の何物でもありません。初心者は、はるか昔に使っていて今は忘れてしまった技を、偶然に使ったというだけです。例えば逆引き、素朴な毛ばり、魚への接近、例を挙げるとまだまだあると思いますが、これらの技を思い起こさせてくれたのだと考え、黙って有難く拝見しているのが得策と思います。

 さて、前置きが長くなりましたが、京都北山テンカラ会の会員たちと共に苦労し培った経験をもとに、蓄積された技の結集を惜しみなく述べさせて頂きたいと思います。是非、参考にされて自分流の新しい形を見つけ、掴んでくださることを望みます。

冨士弘道

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